結婚生活がスタートし、二人とも仕事を続ける共働きライフ。理想では「二人で協力して充実した食生活を」と思っていたはずなのに、気づけばコンビニ弁当と外食の繰り返し。冷蔵庫には使い切れなかった野菜が眠り、キッチンには洗い物が山積み…こんな状況に心当たりはありませんか?
共働き開始後の食事の破綻は、実は多くの夫婦が直面する**「あるある」な悩み**です。仕事で疲れ果てた身体で献立を考え、買い物をして、調理をして、片付けをする。この一連の流れを毎日こなすのは、想像以上にハードルが高いものです。
しかし、このまま放置していると、健康面での不安、食費の増大、そして何より夫婦関係のすれ違いにもつながりかねません。今回は、そんな共働き夫婦の食事問題を、無理なく段階的に立て直していく現実的な方法をご紹介します。
なぜ共働きで食事が破綻してしまうのか
時間の絶対的な不足
共働き夫婦の多くが平日の夕食を18時~19時台に食べようとしています。17時や18時に仕事を終えても、通勤時間を考えると帰宅は早くて18時半。そこから買い物、調理、配膳となると、時間との戦いになるのは当然です。
特に都市部では通勤時間が長く、帰宅が19時を過ぎるケースも珍しくありません。空腹と疲労が重なる中で、一から料理を作るモチベーションを保つのは至難の業といえるでしょう。
精神的・肉体的な疲労の蓄積
仕事でのストレスやプレッシャー、長時間労働による疲労は、料理へのやる気を根底から奪います。**「料理を作る気力がわかない」**という声は、共働き夫婦の約75%が感じている切実な悩みです。
疲れた状態での調理は、ケガのリスクも高まります。包丁で手を切ったり、やけどをしたりといった事故も起こりやすくなり、ますます料理から遠ざかる悪循環に陥ってしまいます。
家事分担の不均衡という現実
調査によると、共働きでも多くの家庭で妻が家事の6割以上を担当しており、料理の負担も妻に偏っているという現実があります。「同じようにフルタイムで働いているのに、なぜ私だけが…」という不満は、単なる料理の問題を超えて、夫婦関係全体に影響を及ぼします。
料理だけでなく、献立を考える、買い物リストを作る、在庫管理をするといった**「見えない家事」**も含めると、その負担は想像以上に大きなものとなっています。
献立を考える負担の重さ
毎日違うメニューを考え、栄養バランスを整え、家族の好みも考慮し、なおかつ簡単に作れるものを…この献立問題は地味にストレスフルです。仕事で疲れた頭で創造的な思考をするのは難しく、結果的にワンパターンな食事になりがちです。
段階的な立て直しプラン:無理なく続けられる改善法
共働き夫婦の食事改善は、一気に完璧を目指すのではなく、段階的に進めることが成功の鍵です。以下の4段階プランで、無理なく食生活を立て直していきましょう。
📊 4段階改善プラン一覧
| 段階 | 期間 | テーマ | 主な取り組み | 目標 |
|---|---|---|---|---|
| 第1段階 | 1~2週目 | 現状受け入れ期 | ・食事記録 ・計画的手抜き・夫婦で話し合い | 罪悪感を手放す |
| 第2段階 | 3~4週目 | 簡単スタート期 | ・一汁一菜 ・炊飯器活用 ・冷凍食品併用 | 温かい食事を家で |
| 第3段階 | 5~8週目 | システム構築期 | ・週末下準備 ・調理家電導入 ・ミールキット | 効率化の仕組み作り |
| 第4段階 | 9週目~ | 継続安定期 | ・曜日別メニュ ・外部サービス ・役割分担 | 持続可能な食生活 |
【第1段階】現状を受け入れて「完璧」を手放す(1~2週目)
🎯 この段階の目標
「今の自分を責めない」「無理をしない」
📝 モデルケース:田中夫妻(共働き・30代)の場合
【Before】田中家の1週間
月曜:コンビニ弁当(夫)、外食(妻)
火曜:スーパーの惣菜
水曜:カップ麺とおにぎり
木曜:外食(二人で)
金曜:デリバリーピザ
土曜:外食
日曜:簡単な自炊
【Action】3つの簡単アクション
| アクション | 具体的な方法 | かかる時間 |
|---|---|---|
| 1. 食事記録 | スマホのメモに「夕食:牛丼(外食)700円」など簡単記録 | 1日1分 |
| 2. 料理しない日設定 | 火・木・土は「料理しない日」と決めて堂々と外食 | 0分 |
| 3. 15分トーク | 日曜の夜に「今週の食事どうだった?」と話す | 週15分 |
【第2段階】最小限の努力で食事を整える(3~4週目)
🎯 この段階の目標
「家で温かいものを食べる回数を増やす」
📝 モデルケース:田中夫妻の改善
【新しい1週間のパターン】
| 曜日 | メニュー | 準備時間 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 月 | 一汁一菜(豚汁+ご飯) | 10分 | 週末に具材カット済み |
| 火 | 外食 | 0分 | 計画的な外食日 |
| 水 | 炊き込みご飯+サラダ | 5分 | 朝セットして帰宅時に完成 |
| 木 | 冷凍餃子+インスタント味噌汁 | 8分 | 質の良い冷凍食品活用 |
| 金 | デリバリー | 0分 | 週末前のご褒美 |
| 土 | 簡単パスタ | 15分 | レトルトソース使用 |
| 日 | しっかり自炊 | 30分 | 翌週の下準備も兼ねて |
【便利アイテム導入】
- 炊き込みご飯の素(5種類ストック)
- 冷凍野菜ミックス
- レトルト味噌汁
- 質の良い冷凍食品
【第3段階】効率的な食事準備システムの構築(5~8週目)
🎯 この段階の目標
「平日の調理時間を15分以内に」
📝 モデルケース:田中夫妻のシステム化
【週末1時間の下準備内容】
| 作業内容 | 所要時間 | 平日への効果 |
|---|---|---|
| 野菜カット&冷凍 | 20分 | 調理時間5分短縮×5日 |
| 肉の下味冷凍(3種) | 20分 | メイン料理が10分で完成 |
| 常備菜2品作成 | 20分 | 副菜の準備不要 |
【新規導入の選択肢】
◆調理家電導入の場合
- 電気圧力鍋(3万円程度)
- 朝材料を入れて、帰宅時に完成
- カレー、煮物、スープが得意
◆ミールキット導入の場合
- 週3回コース(月1.5万円程度)
- 献立を考える必要なし
- 20分で主菜・副菜が完成
【第4段階】持続可能な食生活への移行(9週目以降)
🎯 この段階の目標
「無理なく1年以上続けられる仕組み」
📝 モデルケース:田中夫妻の完成形
【曜日別テーマ設定】
| 曜日 | テーマ | メニュー例 | 担当 |
|---|---|---|---|
| 月 | 麺の日 | パスタ、うどん、ラーメン | 夫(麺好き) |
| 火 | 宅配弁当の日 | 管理栄養士監修弁当 | 自動配送 |
| 水 | 魚の日 | 焼き魚、煮魚(調理済み) | 妻(買い物) |
| 木 | ミールキットの日 | 季節のメニュー | 早く帰った方 |
| 金 | 自由の日 | 外食or デリバリー | 相談して決定 |
| 土 | 簡単調理の日 | 鍋、焼肉、お好み焼き | 二人で |
| 日 | 作り置きの日 | 翌週の準備込み | 二人で |
【月間の食費目安】
- 自炊材料費:2万円
- ミールキット:1.2万円(週2回)
- 宅配弁当:0.8万円(週1回)
- 外食・中食:2万円
- 合計:6万円(1日2,000円)
【役割分担表】
| 項目 | 夫の担当 | 妻の担当 |
|---|---|---|
| 買い物 | 週末まとめ買い同行 | 平日の追加買い物 |
| 調理 | 麺料理、簡単調理 | 魚料理、作り置き |
| 片付け | 食洗機セット | 調理器具の片付け |
| その他 | ゴミ出し | 在庫管理 |
立て直しを成功させるための心構え
比較をやめて、自分たちのペースを大切に
SNSで見る素敵な手料理の写真や、実家の母親の料理と比べる必要はありません。今の自分たちにできることを、無理なく続けることが何より大切です。
失敗や後戻りは当たり前
順調に改善していたと思ったら、忙しさで元に戻ってしまった…そんなことは誰にでもあります。大切なのは、また少しずつ始めればいいということ。完璧主義は続かない最大の原因です。
食事は栄養補給だけでなくコミュニケーションの場
たとえ買ってきたお弁当でも、二人で向き合って食べる時間には価値があります。何を食べるかより、どう食べるかを大切にしましょう。
まとめ:小さな一歩から始める食生活改善
共働きで食事が破綻してしまうのは、決して珍しいことではありません。大切なのは、現状を受け入れて、無理のない範囲で少しずつ改善していくこと。
完璧な手料理を毎日作る必要はありません。時には外食を楽しみ、便利なサービスを活用し、お互いを思いやりながら、自分たちらしい食生活のスタイルを見つけていきましょう。
今日から始められる第一歩は、パートナーと「今の食事、どう思う?」と話すこと。その小さな会話が、より良い食生活への扉を開くきっかけになるはずです。
参照文献
- ナイル株式会社「共働き夫婦の夕食事情調査」PR TIMES、2023年3月2日(閲覧日:2025年5月31日)
- 株式会社ニチレイフーズ「共働きで忙しくても健康的な食事をするには?解決方法を紹介」(閲覧日:2025年5月31日)
- 農林水産省「2 家族と一緒に食べる食事の状況と取組」(閲覧日:2025年5月31日)
- リンナイ株式会社「家事分担に関する意識調査」2024年8月30日(閲覧日:2025年5月31日)


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